Canon EOS 50Dは、2008年9月に、キヤノン一眼レフカメラの中級機として発売されました。
有効画素数は、前機種のEOS 40Dの1010万画素から1510万画素にアップ。画像処理エンジンのDIGIC IIIがメジャーアップデートし、DIGIC4に名前を変えました。連射速度がEOS 40Dから微減していますが、撮影後のデータを素早く書き込める「UDMA」に対応したことで性能向上を図っています。
バッテリーは、BP-511Aを使います。今となっては旧製品用のバッテリーですが、キヤノンオフィシャルのバッテリーがまだ売られています。
改造のベース機として
このカメラを買ったのは2018年の夏頃で、はっきり言って型落ちも良いところでした。並品より下級の現状品価格で手に入れた50Dは、私の手でまずダイヤルのゴム滑りから修理されました。唯一のメイン機だったKiss X4にソフト的な改造を施す「Magic Lantern」を導入して味を占めていた私は、早速50DにもMagic Lanternを導入しました。やっぱりすごいですねMagic Lantern。
50Dに良質なCFカードを提供すると、Magic Lanternが引き出す潜在能力と相乗効果を引き起こし、一気にテクニカルな撮影をこなせるようになります。
Magic Lanternが解放する能力は、50Dが本来持っていない動画撮影機能。おなじみのH.264形式での撮影の他、RAW収録までもアンロックします。良質なCFカードは、RAW収録の際に、1568x882の解像度のデータを秒間24枚記録できるマージンを提供します。画角が狭くなっても良いなら1920x1080のRAW収録もできます。つまり、型落ちの50Dは安価なシネマカメラに変化するということであり、私が50Dに心惹かれる部分はここだったのです。
RAW Videoで遊ぶには
50DでRAW収録ができるようになっても、現像できる環境がなければ汎用性のないデータを作っただけです。
新し目のマック(概ね2012年以降のMetal対応機種)であれば、Colorcastという寄付歓迎アプリで高品質な現像が出来ます。Colorcastは現像処理にMetalを使うので、強力なグラボのMacがあれば現像も速くなります(多分。私のMacは古くて速さを実感できない)。現像データはApple ProResで書き出しできるので、ノンリニア編集ソフトに持ち込んだ後でカラーグレーディングをやり直してもトーンジャンプが起きにくいです。再生難易度を下げる目的でH.264に書き出しても、色表現と階調幅の広さには目を奪われるでしょう。
それから、64GBのCFカードの準備をお忘れなく。1000倍速以上の品が一枚あれば、他の用途にも転用できますし、少ししか書き込みしなければカードの寿命も延びます。
レンズは写ればなんでも良いです。画角で揃えましょう。マウントアダプターでクラシカルなレンズをつないで撮影してもOKです。
最後に…たくさん撮って、よく練習しましょう。RAW収録はカメラの性能を限界以上に引き上げて実現するもので、本質的にシステムを不安定にさせます。最適な設定を探して覚えましょう。CFカードを交換するだけで最適な設定が変わります。
その他、こんなことも
RAWで撮影するときに、画素のスキャンラインごとに高感度と低感度を切り替えて、写真のダイナミックレンジを向上させる撮影ができます。これはDual ISOと言って、撮影したデータそのままでは正しく取り扱いができません。PCに取り込んでHDRに合成する処理を施すことによって、通常のCR2のRAWとは段違いの階調を持つDNG画像を得ることができます。
Adobe Lightroom Classicを使える環境にある場合、HDR合成用のプラグインをLightroomにインストールして、一気にHDR画像を得ることができます。
欠点は、単一ISOで撮影した画像に比べるとノイズが増えて、粒状感を感じるデータができやすいこと。微粒子・なめらかな画像が欲しいときは、ノイズ除去を中くらいまで入れる必要があります。
今から50Dを手に持つ人は…
高性能なCFが高いけど、色々改造して楽しもう!Mac持ちでAdobeも契約できるとデータの取り回しが楽だよ!
おまけ 50Dで遊んだもの
RAW Videoで遊んだものをつなげた