平成の後期に、Holux社から発売されたGPSロガー「M-241」は、優れたコストパフォーマンスと操作性により、GPS初心者が最初に持つGPSグッズとして名をはせていました。しかし時は巡って2019年4月、GPS衛星から配信される週番号が0に戻る現象が発生し、M-241は正しい日付を計算できなくなりました。
令和元年も終わりに近づく12月、M-241のロールオーバー問題に対処する手順がいくつか存在することが分かったので、ここに書き留めておくことにしました。
ロールオーバーによって発生する問題
・2019年4月以降、記録されるGPSログの日付が約20年前になる。
・M-241本体で、時計を表示できなくなる。
・M-241に付属するソフトウェア「Holux ezTour」で、GPSログを処理できなくなる(未確認)
解決方法
根本的な解決は不可能ですが、運用で回避することができます。私が試した中では、2つの手順が効果的であると考えています。
1.PCにつないで、M-241の日付と時刻を今日に合わせる
2.ロールオーバーを修正する機能を持ったGPSログ加工ソフトを使う
1の方法は、現時点ではWindows限定な気がしますが、M-241に任意のコマンドを送信できるソフトがあれば大丈夫です。私は「NMEA Monitor for windows」というフリーウェアを使っています。
2の方法は、「bt747」というソフトの最新版がその機能を持っています。Androidスマートフォン向けのアプリにも、ロールオーバー問題に対処するログ加工ソフトがあった気がします。
PCにつないで、M-241の日付と時刻を今日に合わせる
USBケーブルでPCにつないで(Bluetooth接続でもいける?)、M-241の日付を修正します。修正すると本体の液晶パネルで日付時刻が表示できるようになります。
Windowsパソコンと、 4riverさんのウェブサイトで配布されている「NMEA Monitor for windows」が必要です。このソフトのバージョン3.66(原稿執筆時点での最新版)で、機器のカレンダーを現在時刻に変更するコマンドが用意されました。そのコマンドを送信すると、本体が日付を正しく計算できるようになるというわけです。
ロールオーバーを修正する機能を持ったGPSログ加工ソフトを使う
1999年から数年間の間のログデータに対して、約20年ほど日付を進める処理を挟むことでロールオーバー問題を対処します。「bt747」というソフトの最新版が、この処理を行います。
M-241本体では時計を表示できないままですが、加工後のログデータは正しい日付になります。
bt747は、MTKのGPSチップを採用したGPS機器からログを採取して加工したり、機器に付属する純正ソフトでは設定できない項目を表示・変更できるフリーソフト(寄付歓迎)です。導入や使用方法が恐ろしくとっつきづらいのですが、M-241を現役で使い続けることができる強力なソフトです。
これからのM-241の運用方法
電池交換は、USBで給電しながら行う
日付を飛ばさないためです。電池を抜くと日付が初期値に戻ってしまうので、もう一度NMEAコマンドを送って日付を直す必要があります。
・純正ソフト「ezTour」を使わない
※M-241の日付を正しい時間に修正していれば、ezTourでもこれまで通りログを吸い出せるかもしれませんが、私にはわかりません。ただ、M-241の日付をうっかり飛ばしてしまった場合、その後のログデータはexTour以外のログ吸出しソフトを使って救済する必要がありそうです。

スクリーンショットとか

NMEA Monitor for windowsで、M-241から送られてくるNMEAデータを可視化したところ。

NMEA monitorのコマンド送出画面。今青字で選択されているコマンドをM-241に送ると、日付が訂正される。

日付を修正すると、本体の画面に時計が表示される。

電池の交換は、USBケーブルで給電しながら行うと、修正した日付がリセットされない。

BT747 Log Operations画面。

BT747 Device Settings画面。M-241本体では設定できない記録項目を設定できる。M-241の電源を切るか、リセット操作(ホットスタート等を含む)を行うまで有効。

そのほか